米国のイスラエルに対する一枚岩の支持が割れた日 ネタニヤフ米国議会演説

ネタニヤフ首相に対するアメリカの団結した支持がいかにして衰退したか
How united American support for Netanyahu has ebbed away
ケリー・ボイド・アンダーソン
国際安全保障問題および中東の政治・ビジネスリスクのアナリスト
2024年7月26日 23:48
https://www.arabnews.com/node/2557361

先週のベンヤミン・ネタニヤフ首相の米国議会での演説は、米国とイスラエルの関係の緊密さと一部の議員からの彼の個人的な人気を示したが、連邦議会議事堂の内外での抗議活動は、イスラエル首相と彼のガザ戦争のやり方に対する歴史的な反対の表明でもあった。

議会の合同会議に招かれる外国の指導者はほとんどいない。ネタニヤフ首相にとってはこれが4回目で、他のどの指導者よりも多く、彼の政治的長寿と米国とイスラエルの関係の性質の両方の兆候である。彼の熱烈な演説は、共和党議員からの一連のスタンディングオベーションで強調された。その後、ホワイトハウスではジョー・バイデン大統領、カマラ・ハリス副大統領と、フロリダではドナルド・トランプ前大統領と協議した。

今回の訪問はワシントンにおけるネタニヤフ首相の大きな影響力を示したが、その周辺の抗議活動は米国の外交政策の現実の変化を浮き彫りにした。共和党はイスラエルとその現指導者をしっかりと支持し続けているが、民主党はますますネタニヤフ首相に反対し、米国とイスラエルの関係に疑問を呈している。一部の民主党員は無条件にイスラエルを支持し、ネタニヤフ首相を引き続き支持しているが、一部の若手や進歩的な民主党員は強く批判的になり、イスラエルの伝統的な民主党同盟者の中には、以前よりもイスラエルの指導者を公に疑問視する姿勢を見せている者もいる。

民主党議員の約半数がネタニヤフ首相の演説をボイコットしたが、その中には著名な進歩主義者であるアレクサンドリア・オカシオ＝コルテス下院議員やエリザベス・ウォーレン上院議員など、イスラエルのガザでの行動を強く批判する者も含まれている。出席しなかった他の民主党員は、概ね親イスラエル派ではあるものの、ネタニヤフ首相にはうんざりしている。元下院議長ナンシー・ペロシ、下院議員ジム・クライバーン、上院議員ディック・ダービンなどだ。

ネタニヤフ首相に対する超党派の議会支持は、ガザ戦争以前から低下していた。2015年、ネタニヤフ首相は共和党指導者の招待で合同会議で演説したが、民主党は広く、ネタニヤフ首相がイランとの核合意に反対を表明したため、彼の演説はバラク・オバマ大統領に対する冷淡な態度だと受け止めた。その理由で出席を拒否した民主党員もいた。

ガザ戦争の壊滅的な性質と他の要因が相まって、イスラエル全般、特にネタニヤフ首相に対する態度の党派間の分裂が悪化している。それは水曜日にはっきりと明らかになった。共和党議員のうち1人だけが演説をボイコットしたのに対し、民主党議員のほぼ半数がボイコットした。さらに、出席した民主党員の中には、イスラエルを支持するがネタニヤフ首相には反対だとして、しぶしぶ出席した者もいた。スタンディングオベーションに参加した者はほとんどいなかった。議会で唯一のパレスチナ系アメリカ人であるラシダ・トゥライブ議員は、抗議活動の一環として出席し、ケフィアをかぶり、抗議のプラカードを掲げただけだった。

議会の外では、何千人ものアメリカ人がワシントンに集まり、首相の訪問に抗議し、戦争の終結と人質の解放を求め、イスラエルへの米国の武器供与に反対した。抗議活動のほとんどは当局と計画・調整され、平和的に行われた。警察との衝突が数回あり、催涙スプレーが使用され、数人が逮捕された。拘束された人の中には、ネタニヤフ首相が自らの政治的利益を守るために、人質解放とハマスとの停戦協定を故意に阻止していると考えているガザの人質の親族もいた。イスラエル国内の反ネタニヤフ派の抗議者も、同じ考えを持っている人が多い。

ネタニヤフ首相は演説で、抗議者たちを激しく非難し、彼らがハマス側に立って「イランの役に立つ馬鹿者」だと非難した。彼は抗議者たちが「恥じるべき」だと述べ、彼らの地理と歴史に対する理解を軽蔑した。共和党は、特にイランに対する非難に大声で拍手喝采した。抗議した議員や他の抗議者たちを強く批判する者もいた。

共和党がホワイトハウスを制し、11月の選挙で議会で好成績を収めれば、ワシントンはイスラエルをしっかりと支持し、おそらくネタニヤフを支持するだろうが、トランプ氏とネタニヤフ氏との関係は複雑だ。民主党が勝利すれば、実質的な変化が起きる可能性がある。