【悠仁さまと東大推薦入試】一流学者との共同論文に「特権」批判は妥当なのか 推薦入試の現場を取材して見えてくる別の風景

【悠仁さまと東大推薦入試】一流学者との共同論文に「特権」批判は妥当なのか 推薦入試の現場を取材して見えてくる別の風景
杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ)/ノンフィクションライター
8/3(土) 15:16配信
マネーポストWEB
https://news.yahoo.co.jp/articles/b6860bb9e6fb4b735827f71681d86a8da4dd1b26?page=1

 大学進学を控える秋篠宮悠仁さまは、トンボを題材とした学術論文を発表し、今夏も学会での発表をおこなうことが話題となっている。そして、その実績を活かして東京大学の推薦入試(学校推薦型選抜)を受験するというシナリオが有力視されているが、推薦入試を利用されることについては賛否両論が出ている。『中学受験 やってはいけない塾選び』が話題のノンフィクションライター・杉浦由美子氏がレポートするシリーズ「悠仁さまと東大推薦入試」。【全4回の第1回】

 * * *
 秋篠宮家の悠仁さまの進学先がどこになるのだろうかと注目されている。最も有力視されているのが、推薦入試で東大に進学されるというコースだ。

 東大の「学校推薦型選抜」では基礎学力以外に高校での活動や探究学習の実績を評価する。悠仁さまはトンボの研究に熱心に取り組まれ、宮内庁職員と、国立科学博物館の研究主幹でトンボ研究の第一人者の清拓哉氏と共同執筆の論文を作成し話題になった。

「赤坂御用地のトンボ相―多様な環境と人の手による維持管理―」というタイトルで、冒頭の英文要約に始まり、25ページにわたる論文には豊富な写真の資料も掲載されている。高校生の探究レポートのレベルを超えた立派な学術論文だ。

人の手によって管理された赤坂御用地の自然の中で調査をしているが、東京の生物のレッドリスト記載の12種の絶滅危惧種も見つかっている。

 この論文や学会での発表を「実績」として、悠仁さまが東大の推薦入試を受験されるのではないかと憶測されているわけだ。

推薦入試は「お金持ち優遇入試」なのか

 一方で2024年6月12日配信の「デイリー新潮」では、この論文が「世間からあらぬ批判を招いている」と報じた。

 まず、研究の主題が「赤坂御用地」という一般人が容易には入れない場所を対象にしていること。もう一つは、トンボ研究の第一人者である清拓哉氏と共同で論文を書いたという点だ。

 論文は「皇室特権」を利用した産物で、推薦入試を見越した“実績作り”ではという疑念を、世間に抱かれてしまっているのではないかというのだ。

〈金持ちの子弟が高名な専門家を雇い共著論文を執筆してもらえば合格できてしまう〉

 このような批判があると記事では報じている。この記事は話題になり、配信されたYahoo!ニュースでは1000を越えるコメントがつき、ジェンダー学の第一人者で武蔵大学・社会学部の千田有紀教授もコメントを寄せている。千田教授のコメントを一部引用する。

「悠仁さまの東大推薦入試の利用は、AO入試などの総合型選抜の問題点を浮き彫りにすることになりました。他の人ができない経験や成果は、本人の才能や努力によるのはもちろんですが、それにしても経済資本や社会関係資本(いわゆる伝手やコネ)が大きくものを言います」
「一般受験をされることが一番スッキリするとは思うのですが、どうなのでしょうか」

 私もかつてならこの記事やコメントを読んで、「その通りだ。推薦入試はお金持ち優遇入試だ」と思っただろう。しかし、この春以降、集中的に推薦入試全般を取材してきた記者としては、違う事情が見えてきたので述べていきたい。

立派な実績があれば推薦入試に合格するわけではない

 多くの人がこう誤解しているのではないか。

――高校時代にスポーツや探究活動などで立派な実績があれば難関大の推薦入試に合格する。

 実際にはそうではない。今、難関大の推薦入試では、一般選抜同様に「大学に入ってちゃんと勉強ができる能力があるか」を受験生に問う。

 仮に悠仁さまが仮に東大の推薦入試を受験され、「赤坂御用地のトンボ相」の論文を探究学習の実績として提出するとしよう。

 その場合、審査をする教員が評価するのは論文全体のクオリティではなく、受験生である悠仁さまが「この論文作成の過程でなにをして、どんなことに着眼、考察し、それを活かして大学でちゃんと学べるか」だ。

 論文作成の中での悠仁さまの主な役割は「赤坂御所でのトンボのデータ収集」である。論文には2012年からのデータが載っている。今から12年前だから、悠仁さまが小学校に入る前から、積極的にコツコツと調査をされてきたことが分かる。高校生が12年間もひとつのテーマで調査をしてきたことだけでも注目に値することだろう。東大の推薦を受験されるとしたら、長年の調査を元にした「悠仁さまの着眼点や考察」なども評価の対象になる。面接試験では具体的な調査方法の詳細を確認したり、大学でなにを学びたいかをヒアリングしたりし、それらを総合的に評価する。

 もちろん、清氏のような研究者と交流があれば、アカデミックな視点や論文の書き方、様々な知識を得ることはできよう。しかし、そこからなにを学び、どう考え、それをどう大学での学びに結びつけるかを評価されるわけで、立派な論文を清氏と共に書いただけでは評価はされない。

推薦入試の提出物には「大人の手」が入る現実

 さて、一般の受験生が推薦入試を受験する際も、提出する書類などに「大人の手」が入るのは普通のことだ。いや、手が入ってないものはほとんどないはずだ。

 大学に提出するレポートやプレゼン資料、志望理由書(エントリーシート)には大抵、大人の添削が入っている。特に今は推薦対策の塾が進化しているため、見事なまでの完璧なレポートや志望理由書が提出される。推薦塾の中には探究学習の指導もするところもあるから、実績として提出される論文にも実は大人の手が入っていることもある。

 では、一流の研究者と共同で論文を執筆された悠仁さまと、大人の手を借りて提出書類を作っている一般の受験生はどう違うのか。次回、言及していこう。

(第2回につづく)



筆者の著作
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%89%E6%B5%A6%E7%94%B1%E7%BE%8E%E5%AD%90
『オタク女子研究 腐女子思想大系』 (2006年3月、原書房)
『腐女子化する世界 東池袋のオタク女子たち』 (2006年10月、中公新書ラクレ)
『ケータイ小説のリアル』 (2008年、中公新書ラクレ)
『コスプレ女子の時代』 (2008年、ベスト新書)
『かくれオタク9割 ほとんどの女子がオタクになった』 (2008年、PHP研究所)
『101人の腐女子とイケメン王子 -腐女子「恋愛感」研究』 (2009年、原書房)
『バブル女は「死ねばいい」 婚活、アラフォー(笑) 』 (2010年8月、光文社新書)
『20代女性がセックスしてない 彼女たちはなぜ男に求められない?』(2011年、角川oneテーマ21)
『顔のいい男はなぜ出世するのか 時代と権力とビジュアルの関係』(2011年、廣済堂新書)
『自分のことをしゃべりすぎる若者たち』(2012年、講談社+α新書)
『女子校力』(2013年、PHP新書)
『ママの世界はいつも戦争』(2013年、ベスト新書)
『中学受験 やってはいけない塾選び』(2022年、青春出版社)



論者には複数の著作があるが、筆者の表題羅列および学歴・職歴を眺めたとき、この方は、(出版社の編集者から依頼されたという要素はあるものの)男は女はということをいつも考えている人なのではないか。入試制度について何らかの知見を有している人物なのかどうか、まず素朴な疑問が浮かぶ。

ましてや、「皇族教育」について語るに相応しい知見は何ら有さない全くのド素人であることは否定できないだろう。学問としての教育学を修めたわけでなく、大きな組織で数百人~数千人の人事を10年以上観察してきたという職歴もない。

一般国民とこの筆者は、何が違うのですか?

ユージン君が「悠仁さまが小学校に入る前(6歳)から、積極的にコツコツと調査」の部分は、最も厳しく批判されている問題点なのだが、このお方は根拠もなく褒めている。

いくらもらったの?と質問したくなるレベル(笑)。

「立派な論文を清氏と共に書いただけでは評価はされない」と、もっともらしく聞こえることを、入試評価の業務を未経験の人物が断じている。私は真逆のことを感じた。

学会で地位を確立済みの著名な先生複数が研究チームに含まれる論文を却下したら、採点者が学会の重鎮がしたことに落第点を付けたという意味を持つ。そんなことは恐ろしくてできないでしょう。次に顔を合わせたとき、どのように挨拶しますか?

世論が荒れることで、天皇制の滅亡が1日でも早まるのであれば、私は個人的に嬉しい。皆さんで大いに議論を深めてください。

私は個人ブログに駄文を載せているだけです(笑)。

この記事へのコメント