Robert Kagan 今や「ならず者超大国」となった米国 The Atlantic誌 イランの核は地域問題 イスラエル
America Is Now a Rogue Superpower
Robert Kagan, Senior Fellow at the Brookings Institution
March 30, 2026
https://www.theatlantic.com/international/2026/03/trump-us-power-iran/686567/
ならず者となった米国:イラン戦争が加速させる同盟崩壊と世界秩序の終焉
イラン戦争がもたらす戦略的損失と中露の台頭
イランとの戦争がどのような結末を迎えようとも、この紛争は米国の孤立を深め、ロシアと中国という拡張主義的な大国の地位を強化する結果を招いています。欧州にとって、イラン戦争は重大な戦略的挫折です。
ドナルド・トランプ大統領がロシア産石油への制裁を解除したことで、原油価格の高騰がウラジーミル・プーチン大統領の戦費を潤し、ウクライナの経済・エネルギー基盤の破壊を継続させています。また、ウクライナが都市防衛に必要としている防空迎撃ミサイルの備蓄が、中東での戦争に転用されています。
米国は欧州の安全保障を顧みず、ドイツやイギリスなどの反対を押し切ってロシアへの制裁を解除しました。これにより、80年間にわたり米国の力と安全保障の源泉であった同盟システムが崩壊の危機に瀕しています。
東アジアへの波及と抑止力の神話
米国の行動は、東アジアの同盟国にも深刻なダメージを与えています。日本は石油の95%を中東に依存しており、その70%が封鎖されたホルムズ海峡を通過します。
しかし、トランプ政権はアジアの外交官との意思疎通を欠いたまま戦争を進めました。さらに、台湾有事の際に必要となる空母打撃群などの戦力を太平洋からペルシャ湾へ移動させました。
トランプ支持者はイランへの攻撃が中露に対する抑止力になると主張しますが、実際には、米国がウクライナへの武器供給を断ち、ロシアに譲歩を迫る姿勢はプーチン氏への宥和に他なりません。
中国は、米国が台湾防衛のために中国の強力な兵器に立ち向かうリスクを負えるのか、イランでの腰の引けた対応を見て疑問を抱いています。
逆転した優先順位と「米国第一主義」の矛盾
トランプ政権は、米国の長年にわたる国益の優先順位を逆転させました。かつての中東への関与は、自由な航行と同盟を守るという、米国主導のリベラルな世界秩序を支えるためのものでした。しかし、トランプ政権は「国家安全保障戦略」において、焦点を世界秩序から本土防衛へと移し、中東の優先順位を下げたはずでした。
それにもかかわらず、現在の中東への介入は、同盟システムを破壊してまで最優先事項とされています。
イランは米国の本土に直接的な脅威を及ぼすミサイルを保有しておらず、米国のエネルギー安全保障における中東の重要性も低下しています。核武装したイランが脅威となるのは、米国本土ではなく、イスラエルを含む地域の安全保障です。
孤立する超大国と同盟国の離反
トランプ大統領の「米国第一主義」的な介入スタイルは、議会での採決も同盟国との協議もなく進められ、リンジー・グラム上院議員に象徴されるような「壊しても責任は取らない」という無責任な姿勢を露呈しています。
イタリアのジョルジャ・メローニ首相は、米国の行動が国際法と世界秩序の崩壊を招いていると警告しました。かつての同盟国では反米感情が高まり、ポリティコの世論調査ではカナダ人の57%、ドイツ人の40%が、米国よりも習近平主席の中国の方が信頼できると回答しています。トランプ氏は同盟国をパートナーではなく「属国」として扱い、関税や保護の打ち切りを脅しに使っています。
その結果、スペインが基地の使用を拒否したように、同盟国は協力ではなく強要によってのみ動くようになり、米国は孤立を深めています。
「ならず者超大国」時代の到来
第二次世界大戦後、世界諸国は米国の圧倒的な力を封じ込めるべき「危険」ではなく、関与すべき「パートナー」と見なしてきました。米国は時に利己的で攻撃的でしたが、同盟国はNATOや国連を通じてその秩序を支えてきました。しかし、その時代は終わりました。
米国が同盟国を守らず、むしろ搾取する存在となった今、諸国は米国から離れるか、対抗する同盟を結ぶしか選択肢がありません。米国が「ならず者の超大国」となった今、世界はより孤独で危険な場所へと変貌しようとしています。
Robert Kagan, Senior Fellow at the Brookings Institution
March 30, 2026
https://www.theatlantic.com/international/2026/03/trump-us-power-iran/686567/
ならず者となった米国:イラン戦争が加速させる同盟崩壊と世界秩序の終焉
イラン戦争がもたらす戦略的損失と中露の台頭
イランとの戦争がどのような結末を迎えようとも、この紛争は米国の孤立を深め、ロシアと中国という拡張主義的な大国の地位を強化する結果を招いています。欧州にとって、イラン戦争は重大な戦略的挫折です。
ドナルド・トランプ大統領がロシア産石油への制裁を解除したことで、原油価格の高騰がウラジーミル・プーチン大統領の戦費を潤し、ウクライナの経済・エネルギー基盤の破壊を継続させています。また、ウクライナが都市防衛に必要としている防空迎撃ミサイルの備蓄が、中東での戦争に転用されています。
米国は欧州の安全保障を顧みず、ドイツやイギリスなどの反対を押し切ってロシアへの制裁を解除しました。これにより、80年間にわたり米国の力と安全保障の源泉であった同盟システムが崩壊の危機に瀕しています。
東アジアへの波及と抑止力の神話
米国の行動は、東アジアの同盟国にも深刻なダメージを与えています。日本は石油の95%を中東に依存しており、その70%が封鎖されたホルムズ海峡を通過します。
しかし、トランプ政権はアジアの外交官との意思疎通を欠いたまま戦争を進めました。さらに、台湾有事の際に必要となる空母打撃群などの戦力を太平洋からペルシャ湾へ移動させました。
トランプ支持者はイランへの攻撃が中露に対する抑止力になると主張しますが、実際には、米国がウクライナへの武器供給を断ち、ロシアに譲歩を迫る姿勢はプーチン氏への宥和に他なりません。
中国は、米国が台湾防衛のために中国の強力な兵器に立ち向かうリスクを負えるのか、イランでの腰の引けた対応を見て疑問を抱いています。
逆転した優先順位と「米国第一主義」の矛盾
トランプ政権は、米国の長年にわたる国益の優先順位を逆転させました。かつての中東への関与は、自由な航行と同盟を守るという、米国主導のリベラルな世界秩序を支えるためのものでした。しかし、トランプ政権は「国家安全保障戦略」において、焦点を世界秩序から本土防衛へと移し、中東の優先順位を下げたはずでした。
それにもかかわらず、現在の中東への介入は、同盟システムを破壊してまで最優先事項とされています。
イランは米国の本土に直接的な脅威を及ぼすミサイルを保有しておらず、米国のエネルギー安全保障における中東の重要性も低下しています。核武装したイランが脅威となるのは、米国本土ではなく、イスラエルを含む地域の安全保障です。
孤立する超大国と同盟国の離反
トランプ大統領の「米国第一主義」的な介入スタイルは、議会での採決も同盟国との協議もなく進められ、リンジー・グラム上院議員に象徴されるような「壊しても責任は取らない」という無責任な姿勢を露呈しています。
イタリアのジョルジャ・メローニ首相は、米国の行動が国際法と世界秩序の崩壊を招いていると警告しました。かつての同盟国では反米感情が高まり、ポリティコの世論調査ではカナダ人の57%、ドイツ人の40%が、米国よりも習近平主席の中国の方が信頼できると回答しています。トランプ氏は同盟国をパートナーではなく「属国」として扱い、関税や保護の打ち切りを脅しに使っています。
その結果、スペインが基地の使用を拒否したように、同盟国は協力ではなく強要によってのみ動くようになり、米国は孤立を深めています。
「ならず者超大国」時代の到来
第二次世界大戦後、世界諸国は米国の圧倒的な力を封じ込めるべき「危険」ではなく、関与すべき「パートナー」と見なしてきました。米国は時に利己的で攻撃的でしたが、同盟国はNATOや国連を通じてその秩序を支えてきました。しかし、その時代は終わりました。
米国が同盟国を守らず、むしろ搾取する存在となった今、諸国は米国から離れるか、対抗する同盟を結ぶしか選択肢がありません。米国が「ならず者の超大国」となった今、世界はより孤独で危険な場所へと変貌しようとしています。
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