ローマ教皇の初回勅とAI企業との連携 テクノロジーの聖別を巡る批評 Anthropic Christopher Olah カトリック キリスト教

The PopAI, digital Pontifex
Lorenzo Maria Pacini (Associate Professor in Political Philosophy and Geopolitica, UniDolomiti of Belluno. Consultant in Strategic Analysis, Intelligence and International Relations)
May 31, 2026
https://strategic-culture.su/news/2026/05/31/the-popai-digital-pontifex/

ローマ教皇の初回勅とAI企業との連携、テクノロジーの聖別を巡る批評

歴史的な回勅の発表と異例の演出
教皇レオ14世は、自身初の回勅『マニフィカ・フマニタス(大いなる人間性)――人工知能の時代における人間の保護について』を自ら発表した。

発表の場には、カトリック社会教説の基礎となった1891年の回勅『レルム・ノヴァルム』から135年という歴史的日付が選ばれ、教皇の傍らにはAI企業アンソロピックの共同創業者クリストファー・オラーが同席するという、数百年のプロトコルを破る極めて異例の光栄が与えられた。

バチカンとシリコンバレーの新たな軸と背景
バチカンがオープンAIではなくアンソロピックを選んだ背景には、同社がトランプ政権の大統領令によって「安全保障上のリスク」とみなされ国防総省(ペンタゴン)から排除された経緯がある。

アンソロピックはモデルの倫理的制約の解除を拒んで排除された経緯があり、オラー自身も発表会で富の不平等な分配やアルゴリズムの不透明性といったAIの課題を激しく自己批判した。

これが、技術に道徳的枠組みを与えようとするバチカンの意図と合致した。

「倫理的企業」が抱える軍事ビジネスの矛盾
しかし、アンソロピックの倫理的な姿勢には深刻な内部亀裂が指摘されている。

同社は、CIAによるベネズエラ大統領の拘束作戦に自社のモデル「クロード」が使用されたことに抗議し米政府と対立した一方で、ペンタゴンから排除されたまさに同じ週に、米国とイスラエルによるイランへの空爆において1000個の標的選定を支援したとも報じられている。

この現実は、現代のテクノロジーエコシステムにおいて「倫理」と「軍事」が不可分に表裏一体であることを物語っている。

神学の変容と technocratic 宗教のリスク
回勅は、カトリックの伝統的な概念である「識別」や「良心」、「真理」をアルゴリズムや開発組織の責任へと拡張しており、救済の言語が最適化の言語へと置き換わる概念の変容を引き起こしている。

かつてレオ13世が資本主義に対して実効的な自治権をもって反論したのとは異なり、現代のバチカンは巨万の富を持つAI企業を招き入れてシステムを交渉しようとしている

これは、技術を道徳的に制御するどころか、倫理の言葉を用いてプラットフォーム資本主義を「聖別」してしまう、司祭の役割へと陥るリスクを孕んでいる。

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