イスラエルのテック企業 通貨高が利幅圧迫 開発管理拠点を東欧や米国に移転 IT 為替レート

After record year, Israeli tech brain drain raises fears for future growth – report
Israel Innovation Authority says R&D activity and management of startups are increasingly moving abroad amid AI-related changes, and as strong shekel raises costs
By Sharon Wrobel
31 May 2026, 9:34 pm
https://www.timesofisrael.com/after-record-year-israeli-tech-brain-drain-raises-fears-for-future-growth-report/

現状(光と影)
イスラエルのハイテク産業は過去1年で過去最高の業績を記録し、GDPの18.3%を占める経済の主軸となっている。しかし、その裏では多くのスタートアップが拠点を海外へ移転させており、深刻な「頭脳流出」が起きている。

課題の背景(現地コストの高騰)
イスラエルの通貨シェケルが過去1年で20%以上急騰し、33年ぶりの高値圏となった。これにより、ドル建てで稼ぎシェケルで人件費や税金を払う現地テック企業の大幅なコスト増を招き、開発・管理拠点を東欧や米国へと押し出す要因になっている。

危機を示すデータ(初の減少)
過去10年間で初めてイスラエル国内の研究開発(R&D)職の雇用が約3,500件減少した。国内民間テック企業の従業員に占める現地在住者の割合は、2019年の69%から62%に低下。経営層も米国などへ移転し、意思決定機関の海外流出が進んでいる。

AIの普及と解雇の波
コスト削減に加え、業務への人工知能(AI)導入が進んだことで一部の仕事が代替され、大手企業(WixやAmdocsなど)から新興のAIスタートアップ(AI21 Labsが人員の60%を削減)に至るまで、激しい人員削減と組織再編の波が押し寄せている。

業界の底力(依然として世界トップ級)
多方面での長期にわたる戦争の最中でありながら、2025年の資金調達額は約150億ドル(前年比30%増)に達し、世界第4位のテックハブとしての地位を維持している。大手企業の買収などにより、M&A(企業の合併・買収)や輸出額も過去最高を記録した。

今後の展望と提言
イスラエルイノベーション庁(IIA)は、現在のハイテク産業は岐路にあると警告。一時的な業績に惑わされず、このイノベーションの「価値や雇用」を国内に引き留めるため、政府による一貫した大規模投資と環境整備が不可欠であると訴えている。

この記事へのコメント