イラン戦争の余波と米中金融戦争がもたらす世界地政学の再編 Alastair Crooke 米国 中国 

Iran war effect marks the resetting of world geo-politics
Alastair Crooke
June 1, 2026
https://strategic-culture.su/news/2026/06/01/iran-war-effect-marks-the-resetting-of-world-geo-politics/

イラン戦争の余波と米中金融戦争がもたらす世界地政学の再編

米国イラン交渉の虚実とトランプ大統領のジレンマ
メディアや仲介国(パキスタン、カタール)は「合意間近」と煽るが、実際は相互不信が根深い。

トランプ大統領は市場安定と戦争終結のために「見かけ倒しの早期合意」を欲しているが、イランは実質的な保証(ホルムズ海峡の支配権維持など)を譲らない。

早期合意の動きは、米国内の親イスラエル派大富豪層の猛反発を招き、さらにイスラエルがガザ・レバノンへの猛攻撃で停戦条件を破ったため、トランプ大統領は身動きが取れない窮地(ツークツワンク)に陥っている。

イスラエルとロシアをめぐる地政学的変化
イスラエル
米国なしでは対イラン戦争を継続できないが、米国の対中東政策は変化しつつあり、出口のない複数戦線での戦争(「イランの罠」)に滑り込んでいる。

ロシア
ウクライナによる過酷な本土ドローン攻撃を受け、「戦略的忍耐」を終了。ドローンを供給する欧州企業を「潜在的攻撃対象」と名指しし、背後にいる欧米の要員を殺害してでも攻撃の司令センターを壊滅させる構えを見せている。

米国の「暗号ドル覇権」戦略
米財務省の対中戦略は、関税や燃料輸入封鎖(イラン・ベネズエラ封鎖)によって中国のエネルギー・資本コストを押し上げ、その競争力を削ぐことだった。

さらに米国は法案(Genius Act / Clarity Act)を通じ、海外の個人資産を米国債に裏付けられた「暗号資産(デジタル・トークン)」へ誘引しようとしている。これにより、衰退するペトロダラー(石油ドル)に代わる「クリプトダラー(暗号ドル)覇権」を確立し、米国債市場の崩壊を防ぐドル需要を創出する狙いがある。

中国による「金融カウンターパンチ」(結論)
中国(習近平国家主席)は米国に対し、制裁やミサイルではなく、米経済へ直接逆圧力をかける「冷徹な金融戦略」で応戦し始めている。

対策1
ウォール街の原動力である「中国国内からの米国市場への資金流入」を徹底的に取り締まり、遮断した。

対策2
香港に新たな金取引センターを設立し、西側の貴金属支配を打破。ドルを介さない「金(ゴールド)建て」での石油決済を推進している。
https://www.straitstimes.com/business/companies-markets/hong-kong-to-get-edge-in-asia-gold-hub-push-with-clearing-system
(編注:↑次記事にて要旨を訳出↑。ロンドンとは別の香港金市場育成を中国が試みている記事ではあるが、ゴールド建て石油決済の話をしているかは「?」)

対策3(決定打)
国際決済のバックボーンである「ユーロクリア」が中国国債を優良担保として受け入れ始めた。中国には50兆ドルを超える莫大な国内預金基地があるため、中国国債の市場は極めて強固で低コストである。
https://www.youtube.com/watch?v=NKM-op0cqcw

総括
中国は自国資金だけで安価に永続的な財政調達が可能となった。結果として、エネルギーと資本のコストを絞り込んで中国を封じ込めようとする米国のグランド・ストラテジー(大戦略)は、中国によって「持ちこたえられ、打破される」運命にある。

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